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2017年3月22日水曜日

ウォルター少年と、夏の休日

少年の憧れそのものな老人達

1960年代初頭、父親のいない14歳のウォルターは母親に連れられて大叔父
兄弟の家にやって来た。
面識もない大叔父ハブとガースは、40年もの間行方知れずだったが、ある時
出所不明の大金を持って帰ってきたという。
その金を見つけ、あわよくば2人に気に入られて遺産を手に入れるようにと
母親に言われ、辟易しながらもウォルターは大叔父の家に預けられた。

ハブとガースは莫大な財産を目当てに寄って来るセールスマンや親戚をショ
ットガンで追い払うのを楽しみにする変わり者。
そんな彼らの過去が、1枚の美しい女性が写る写真を切っ掛けに語られる。
2003年アメリカ製作。
物事に対して諦観を抱いている印象のウォルター少年が出会ったのは、とに
かく豪快で自由な老兄弟。
腕っぷしの強いハブと冷静なガースは周囲からは変人扱いで、寄って来るの
は金目当ての者ばかり。
ウォルターにとっても初めは近寄りがたい存在でしたが、次第に心を開いて
いきます。

寝室で見つけた美しい女性の写真と、夜に一人どこかへ行くハブ。
疑問を感じるウォルターにガースが話したのは、御伽噺のような武勇伝でし
た。
ヨーロッパ旅行で酒場に行き、気が付いたら兵士にさせられていたり、奴隷
売買組織を潰して一国の姫を望まぬ婚約者から奪ったりなど輝かしい活躍で
す。
周囲の人々はその話を信じませんが、ウォルターは2人を信じます。
老兄弟と過ごすうちに、大人しかった少年は生きるたくましさを学んでいき
ます。

懲りずにまたやって来たセールスマンをいつものように追い返そうとした2人
でしたが、話を聞くだけ聞いてみようというウォルターの言葉にショットガン
を下ろしました。
影響を受けていたのは少年だけではなかったようです。
セールスマンが紹介した商品はクレーン射撃セットでした。
見事にハブとガースの好みに合うもので、これ以降2人はショットガンで脅す
以外にも楽しみを見つけていきます。

狩りをしようとライオンを買いましたが、届いたのは年老いた雌ライオン。
返品しようとしますがウォルターが飼いたいと言い、結局飼うことになりまし
た。
ウォルターが何かを欲しいと強く希望したのはこの時が初めてだったのかもし
れません。
ライオンは大人しく、トウモロコシ畑がお気に入り。
この家に隠された大金を手に入れようとした男に襲われたウォルターを助け、
心臓発作でライオンは死んでしまいますが、その姿は百獣の王らしく誇り高い
ものでした。
これはハブとガースの生き様のようでもあります。
活躍したのは過去の話ですが、今でも勇敢さと強さは失われていません。

特別派手なところはありませんが、清々しいほど潔い老兄弟のカッコ良さがあ
ります。
何かの拍子に記憶の中から勝手に浮かび上がってきては、人を懐かしい気持ち
で一杯にさせる情景のような良い映画です。

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