マウス・ハント

小さく賢いアイツには、人間なんて遊び相手

兄のアーニーはとある事件により店を失ったシェフ。
弟のラーズは父の跡を継ぎ、製糸工場を営んでいたが経営不振で給料も払
えない。
そんな2人に父親の遺産が舞い込んだ。
相続したのは古い屋敷で価値もないと思っていたが、実は有名な建築家の
遺作であり、所在不明である幻の作品だった。
高額で買い取ると申し出があったが、オークションを開いて値段を釣り上
げようと考えた。
そのためにはまず修繕をしなければと兄弟は張り切るが、その屋敷には１
匹のネズミが住んでいた。
人間VSネズミの戦いが始まった。

1997年アメリカ製作の映画。
屋敷の値段を少しでも上げるためにネズミを退治しようとする兄弟をあざ
笑うかのように撃退するネズミの賢さ。
初めはネズミ捕りにチーズを仕掛けておくだけでいいと甘く見ていた2人
ですが、器用にチーズだけをいただいていくネズミを見て考えを改めます。
しかし、この小さな生き物は尽く人間の上をいき、兄弟は氷の張った湖に
沈んだり、部屋いっぱいのネズミ捕りに襲われたりと散々な目に遭ってし
ます。

そこで、ネズミには猫がいいと、保健所に行きました。
とにかく凶暴で大きくてネズミ捕りが得意なヤツを希望すると、ガスが効
かないために施設に居続ける巨大猫を紹介されました。
頑丈な箱に隔離しても、それすら突き破るパワーの持ち主です。
早速屋敷に放してみると、猫はネズミに猛然と飛び掛かりました。
それはもう、ネズミの側から見るとモンスターが襲ってきたかのようで、
保健所はよくアレを捕まえたものだと感心するほど。
しかし、どれだけ強くても頭脳はネズミの方が上でした。

ネズミ退治の専門家もキャラの濃い強者でしたが、兄弟が外出先から戻っ
て目にしたのは救急車で運ばれる専門家の男。
しかも通報者は無言だったという。あのネズミは完全勝利を収めていまし
た。

あの手この手で人間達をやり込めるネズミが、次は何をするのか楽しみに
なっていきます。
また、リアルなネズミの姿ですがとても可愛らしい。
壁の中の寝床がベッドのように作られ、調度眠る時に目に入る位置にポス
ターらしく置かれた小さな写真。快適な暮らしをしていたようで、これま
での生活が気になります。
一番のお気に入りシーンは、ネズミ捕り設置に必死になっている兄弟の後
ろで、悠然とチーズを運ぶネズミ。
兄弟はエサとして切り出したチーズを懸命に仕掛けていますが、当のネズ
ミは残りの大きなチーズを転がして持ち去り、その姿は遊んでいるようで。

とはいえ、この兄弟も悪人ではないのでラストはハッピーエンドです。
オレンジにやられたネズミにとどめを刺せなかったりと、心根は優しいは
一度は全て失いますが、元凶であるネズミに救われます。
ただ者ではなかったネズミは、最後には役職まで手に入れるという出世を
果たしました。

もう20年も前の作品なので今観るとCGがぎこちなく見えてしまいますが、
そこを気にしなければ家族で楽しめる映画です。
昔、ビデオをレンタル期間中に何度も繰り返し見た思い出の一作です。